2025
One-pot, telescoped Aryl nitrile Synthesis from Benzylic Silyl Ethers
Shohei Hamada, Suzuka Kobozono, Kaori Sakamoto, Kyoko Yano, Yuka Tanaka,
Yusuke Kobayashi, Takumi Furuta
J. Org. CHem. 2025, 90, 1597-1604.
DOI: 10.1021/acs.joc.4c02624
シリルエーテルは、アルコールの保護体として多用されます。本研究では、シリルエーテルの触媒的酸化を基点とした、ワンポットでのニトリル合成法を開発しました。本法の使用により、アルコールの保護体からワンポットでニトリルへと変換することができます。
Thermal [2+2] cycloaddition of dihydropyrrole and dimethyl acetylenedicarboxylate
Hibiki Maruyama, Shohei Hamada, Jun-ichi Matsuo
under review
CO deletion of delta-lactones to tetrahydrofurans by metal-catalyzed persulfate
oxidation in acidic aqueous conditions
So Ohkubo, Shohei Hamada, Jun-ichi Matsuo
under review
2024
Strain-promoted azide-alkyne cycloaddition enhanced by the secondary interactions
Riko Yoshikawa, Shohei Hamada, Jun-ichi Matsuo
Org. Biomol. Chem. 2025, 23, 1837-1840.
DOI: 10.1039/D4OB01752H
DOI: 10.26434/chemrxiv-2024-jjg4n
アジド化合物とシクロオクチンとの双極子付加環化反応は、生体物質の化学修飾に汎用されている有機反応です。しかし、その反応性は十分ではなく、より優れた連結法の開発が望まれています。我々の研究では、アジドーアルキンの付加環化反応より高速に進行する第二の反応を組み込んだ新たな連結法を考案し、その中でもホウ酸と水酸基の相互作用が極めて有効であり、目的とするアジド−アルキン付加環化反応が極めて高速に進行することを実証しました。現在、より高速な連結法の開発を進めています。
Preparation of N-tert-butylbenzenesulfinimidoyl chloride
Teruaki Mukaiyama, Yasuo Nakamura, Jun-ichi Matsuo
Organic Syntheses, under review
Reduction and hydrocyanation of aziridines with C-C bond cleavage
Yuki Kawamoto,Tomoyuki Yoshimura,Jun-ichi Matsuo
Eur. J. Org. Chem. 2024, e202400613.
DOI: 10.1002/ejoc.202400163
3員環アミンであるアジリジンは、通常、その炭素―窒素結合を切断する有機反応に用いられています。しかし、その炭素―炭素結合を切断する反応は極めて稀です。我々は、分子編集技術にアジリジンを応用するために、この炭素―炭素結合開裂反応を検討しました。その結果、アジリジンアニオンの6π電子環状反応に続き、還元またはTMSCNによる付加反応によって、炭素ー炭素結合を切断しながら新たに結合を形成する手法を見出しました。
2023
Diverse site-selective transformation of benzylic and allylic silyl ethers
via organocatalytic oxidation
Hamada, S., Sakamoto, K., Miyazaki, E., Elboray, E. E., Kobayashi, Y.,
Furuta, T.
ACS Catal. 2023, 13, 8031-8037.
DOI: 10.1021/acscatal.3c01153
シリルエーテルからアルデヒド、ケトンへの触媒的酸化反応を開発しました。シリルエーテルは頻繁に用いられるアルコールの保護体であり、本法を用いることで、シリルエーテルからアルコールを経由せず、1工程でカルボニル化合物へと変換可能です。また、複数のシリルエーテル存在下、ベンジル位やアリル位のシリルエーテルを選択的に変換できることも、既存のフッ素イオンや酸による脱保護と異なる特徴的な点であり、医薬品や天然化合物合成への応用が期待されます。
Oxidative Deprotection of Benzyl Protecting Groups for Alcohols by an Electronically
Tuned Nitroxyl-radical Catalyst
Shohei Hamada, Maiko Sumida,Rikako Yamazaki, Yusuke Kobayashi, Takumi Furuta
J. Org. Chem. 2023, 88, 12464-12473.
DOI: 10.1021/acs.joc.3c01217
ベンジル基はアルコールの保護基として多用され、一般的には接触還元により脱保護されます。我々は、独自のニトロキシルラジカル触媒によって、酸化的にベンジル基を脱保護する手法を見出しました。
Asymmetric cycloaddition reactions of aryne intermediates with a chiral
carbon-carbon axis: syntheses of axilally chiral biaryl compounds
Tomoyuki Yoshimura, Ken-ichi Onda, Jun-ichi Matsuo
Org. Lett. 2023, 25, 8952-8956.
DOI: 10.1021/acs.orglett.3c03983
本研究では、軸不斉を有するベンザイン中間体の研究を行いました。この軸不斉ベンザインは、時間の経過と共にその光学純度が低下する性質がありますが、ベンザインへの付加環化反応がラセミ化よりも速く進行し、高い光学純度を保持したビアリール類の合成が実現しました。これにより、金属触媒の不斉リガンドや、軸不斉を有する医薬品の効率的合成に役立つと期待されます。
Synthesis of 13-16-membered cyclotetrapeptide mimics by Ugi reactions with
diacids and diisonitriles
Eur. J. Org. Chem. 2023, e202300939.
DOI: 10.1002/ejoc.202300939
環状ペプチドは医薬品として注目を集めていますが、その合成には保護・脱保護など多くのステップを必要とします。我々は、環状ペプチド類似体として、環状テトラアミドをダブルUgi反応を用いて1段階で合成する方法を開発しました。また、環状テトラアミドの特徴的な立体構造(コンホメーション)もX線結晶解析によって明らかにしました。本研究結果は、医薬品開発において、環状アミド化合物の簡便な合成および立体構造を類推する重要な知見を含んでいます。
Aldol/Brook/Carbon skeletal rearrangement cascade reactions of beta-silyl
ketones with aldehydes
Aya Nowaki, Mizuki Kawano,Fuka Hori, Yurika Fuse, Tomoyuki Yoshimura, Jun-ichi
Matsuo
Eur. J. Org. Chem. 2023, e202300351.
DOI: 10.1002/ejoc.202300351
ケトンのβ位にシリル基を有するβ―シリルケトンの反応性については、これまで十分に研究されていませんでした。そこで我々は、その隠されたβーアニオン性に着目し、炭素―炭素結合反応における効果を調べました。その結果、βーシリルケトンをKHMDS,18-crown-6を用いてエノラートを形成し、アルデヒドと反応させたところ、通常のアルドール反応ではなく、アルドール反応、Brook転位、シクロプロパノールを介する骨格転位が連続的に進行し、β、γー不飽和ケトンが得られました。この反応機構を研究し、Brook転位はR3Si基が結合する炭素において、立体反転を伴って進行することを明らかにしました。
Intermolecular direct catalytic cross-Michael/Michael reactions and tandem
Michael/Michael/aldol reactions to linear compounds
Yuta Asaji, Hibiki Maruyama, Tomoyuki Yoshimura, Jun-ichi Matsuo
Tetrahedorn 2022,122, 132951.
DOI: 10.1016/j.tet.132951
多くの成分を順番を制御して結合させることは、脂肪酸合成など生体内では効率よく実現されています。しかし、それを有機合成化学によって実現しようとしますと、ポリマー化や望まない順番での結合形成などが見られ、難しい課題です。特に鎖状化合物を多成分連結反応で合成する試みは、一般にポリマー化が起こりやすく、困難なことが知られています。我々は、この難題にチャレンジし、触媒量の塩基の存在下、強力なnakedエノラート種を発生させて4種の成分を連結する方法を開発しました。
Fuka Hori, Tomoyuki Yoshimura, Jun-ichi Matsuo
Synlett 2022, 1519-1522.
DOI: 10.1055/a-1865-2556
インドール骨格は、抗炎症薬のインドメタシン、抗高脂血漿薬のフルバスタチンなど多くの医薬品に見られます。このインドール骨格を3成分のドミノ反応によって触媒的に合成する手法を開発しました。触媒量の塩基を加えるだけで、3成分が結合する点が特徴的です。本手法によって、様々な構造を持つインドール骨格が容易に合成可能となります。今後、医薬品開発・合成への応用が期待されます。
Cascade cyclization of 1,2,7,8-tetraones and total synthesis of nesteretal
A
Tomoka Dentani, Ayano Kawachi, Misaki Kato, Tomoyuki Yoshimura, Jun-ichi
Matsuo
Org. Chem. Front. 2022, 9, 3786-3793.
DOI: 10.1039/D2QO00740A
1,3-ポリケトン構造を持つポリケチド経路によって、テトラサイクリン抗生物質、エリスロマイシンといったマクロライド抗生物質が生体内で産生されています。しかし、1,2-ケト構造を有するポリケトンの反応性に関しては、その位置選択性および立体選択性が研究されていませんでした。そこれ我々は、1,2-ケト構造を2つ有する物質の分子内アルドール反応の検討を行い、その選択性を明らかにしました。また、その知見を活用して、nesteretal
Aの全合成を行いました。その結果、対称構造を有する原料の非対称化を利用して、極めて短い合成ステップ数でnesteretal Aの合成を達成しました。酸素官能基の多い物質の合成は困難を伴いますが、本研究はそういった化合物の合成に1,2-ポリケトンの新たな有用性を示すものであり、今後の発展が期待されます。
2021
Catalytic intermolecular aldol reactions of transient amide enolates in
domino Michael/aldol reactions of nitroalkanes, acrylamides, and aldehydes
Shunya Morita, Tomoyuki Yoshimura, Jun-ichi Matsuo
Green Chem. 2021, 23, 1160-1164.
DOI: 10.1039/D0GC04111D
アミドエノラートを触媒的にKOHを用いて発生させることは、アミドカルボニルα位の酸性度とH2Oの酸性度に大きな開きがあることから、一般に困難と考えられます。我々は、アクリルアミドへの共役付加によって生じたアミドエノラートは、DMSO中にて強力な求核性を示す事を利用して、プロトン化よりもアルドール反応を優先的に進行させる触媒的3成分連結反応を開発しました。本手法は、KOHを触媒量(10mol%)用いるだけで進行するので、廃棄物質の少ない有機合成反応と言えます。本研究で見出した極めて求核性の高い一過性エノラート種は、今後大きな展開が期待されます。
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