山梔子(サンシシ)
【釈名】時珍曰く、巵は酒器であって、巵の子がそれに似ているから名づけたのである。俗に梔と書く。

【集解】別録に曰く、巵子は南陽の川谷に生ずる。九月に実を採って曝乾する。

【修治】斅曰く、凡そ使うには、必ず雀脳の如くにして鬚長く九路あり、赤色のものを用いるを上とする。
先ず皮、鬚を去って仁を取り、甘草水で一夜浸し、漉し出して焙乾し、搗き篩って末にして用いる。
震亭曰く、上焦、中焦を治するには殻のまま用い、下焦には殻を去り、洗って黄漿を去り、炒って用いる。血病を治するには黒く炒って用いる。
好古曰く、心胸中の熱を去るには仁を用い、肌表の熱を去るには皮を用いる。

【気味】苦し、寒にして毒なし

【主治】五内の邪気、胃中の熱気、面赤、酒皰皶鼻、白癩、赤癩、瘡瘍

国訳本草綱目,春陽堂書店,東京,1973